結婚相談所の会員情報・プロフィール・写真:相手に見せる範囲と同意・退会後の保存

婚活サービスの個人情報は、運営が持つ情報と相手の会員に見せる情報を分け、見せる範囲ごとに同意を取ります。要配慮個人情報、外部の仕組み、退会後の保存まで、取得から消去までを一続きで決めます。

トップページ › 結婚相談所の会員情報・プロフィール・写真:相手に見せる範囲と同意・退会後の保存
入会時の規約への同意だけで年収や写真を相手に見せていると、「そこまで見せるとは思わなかった」と争われます。

このページの要点

  • 利用目的は具体的に特定し、成婚後の提携先への案内や体験談の広告利用は、目的と第三者提供の同意を別に設計する(個人情報保護法17条・18条・27条)。
  • 相手の会員は第三者。プロフィールの開示は、見せる項目を会員が選べる形で同意を取り、相手の会員の遵守事項(保存・転載の禁止、消去)を規約に置く。
  • 病歴・障害・信条などに関する事項は要配慮個人情報に当たり得る。取得の時点(20条2項)と相手に開示するときの個別の同意を取り、オプトアウトは使えない。
  • 委託先の監督、外国の事業者、共同利用の通知事項、開示・利用停止の請求への対応、退会後の保存の範囲と期間をプライバシーポリシーに具体的に書く。

結論:「運営が持つ情報」と「相手に見せる情報」を分け、見せる範囲ごとに同意を取る

結婚相談所は、会員の個人情報を、他の会員に見せることを前提にしたサービスです。氏名、年齢、居住地、職業、年収、学歴、家族の状況、写真。これらは、本人の出会いのために、相手の会員に開示されます。一方で、同じ情報は、悪用されれば、つきまといや詐欺、勤務先への連絡といった被害につながります。個人情報の取扱いの設計が、そのまま会員の安全に直結するサービスだといえます。

設計の出発点は、情報を二つに分けることです。運営だけが持つ情報(身分証、独身であることの確認書類、収入の証明書類、連絡先の詳細、相談の記録など)と、相手の会員に見せる情報(プロフィール、写真、希望条件など)です。前者は、運営の内部で安全に管理すれば足ります。後者は、運営から別の会員への提供になるため、本人の同意が必要です。

情報の種類と、取扱いの考え方

情報の種類見せる相手同意の取り方注意する点
氏名・住所・電話番号・メールアドレス運営のみ。相手には、運営が定めた段階で必要な範囲のみ利用目的の明示と、相手に見せる段階の個別の同意連絡先交換のルールと対にする
年齢・居住地(都道府県など)・職業・学歴相手の会員に開示(プロフィール)プロフィールとして相手に開示することへの同意勤務先や学校名の詳細まで見せるかは、項目ごとに選ばせる
年収・資産の情報運営は証明書類で確認。相手には区分や範囲で表示することが多い開示の形(範囲表示か、金額か)を示した同意証明書類は運営だけが見る。相手に見せる形を決める
顔写真・動画相手の会員に開示写真の相手への開示、保存・転載の禁止を含む同意加工・撮影代行を行う場合の扱いを決める
家族構成・親の状況運営のみ、または希望により相手に開示任意項目とし、見せる範囲を選ばせる必要以上に取得しない
病歴・障害・信条などに関する事項原則として取得は慎重に。任意の申告として扱う取得の時点での同意(個人情報保護法20条2項)要配慮個人情報に当たり得る。後述

このページでは、取得する項目と利用目的、相手に見せる範囲と同意、要配慮個人情報、外部システムや委託先、会員からの開示・利用停止の請求、退会後の保存を説明します。独身であることの確認書類など、入会時の確認については結婚相談所の入会資格と審査で扱いました。プライバシーポリシーの書き方の一般論ではなく、婚活サービスに固有の項目の設計に絞ります。

条文は、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」)と同法施行令を、e-Gov法令検索(法令API)で確認した現行の規定に基づきます。

取得する項目と利用目的:目的は具体的に、取得の場面ごとに明示する

個人情報保護法17条1項は、個人情報取扱事業者に、個人情報を取り扱うに当たって利用の目的をできる限り特定することを求めています。婚活サービスの利用目的は、「サービスの提供」とひとまとめにせず、会員が自分の情報の行き先を理解できる程度に分けて書くのが基本です。

  • 入会審査・本人確認・独身であることの確認のため。
  • 会員のプロフィールを作成し、紹介する相手の会員に開示するため。
  • お見合いの調整、交際の進行の支援、成婚の確認のため。
  • 料金の請求・支払の確認、解約の精算のため。
  • 会員からの相談・苦情への対応、会員間のトラブルの対応のため。
  • 規約違反の調査、会員資格の確認、安全の確保のため。
  • サービスの改善、統計の作成のため(個人を特定しない形)。
  • 新サービスやイベントの案内のため(会員が希望した場合)。

目的の書き方で特に注意するのは、18条です。同条1項は、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないと定めています。入会時に「サービスの提供のため」としか書いていないのに、成婚後に、ブライダル関連の事業者、住宅、保険などの提携先の案内に会員情報を使うことは、目的の範囲を超えます。提携先への情報の提供は、さらに第三者提供(27条)の問題にもなります。成婚後の案内や提携先の紹介を行うなら、その旨を利用目的に書き、提携先への提供については、本人の同意を別に取る設計にします。

取得の場面では、21条の規律が働きます。同条2項は、契約書その他の書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならないと定めています。入会申込書やプロフィール入力フォームに情報を記入してもらうときは、記入欄の近くに、利用目的を明示するか、プライバシーポリシーの該当箇所へ案内する、という形が基本になります。ほかの経路(紹介者からの情報、カウンセリングの聞き取り)で取得する情報は、21条1項により、取得後速やかに利用目的を通知または公表します。

書き方の例(一般的な例) 利用目的の書き方

目的の特定

よくある書き方個人情報は、当社のサービスの提供および運営のために利用します。
整えた書き方個人情報は、入会審査、本人確認、プロフィールの作成と相手の会員への開示、お見合いの調整、成婚の確認、料金の請求、問い合わせ・苦情への対応、安全の確保のために利用します。

理由目的を具体化して、会員が自分の情報の使われ方を理解できるようにする(17条1項)。

提携先への提供

よくある書き方当社は、サービスの向上のため、提携先に情報を提供することがあります。
整えた書き方当社は、会員が成婚後の案内を希望する場合に限り、本人の同意を得たうえで、提携先に氏名・連絡先などの必要な情報を提供します。

理由目的外の利用と第三者提供の同意を結びつけて書く(18条1項、27条1項)。

取得する項目

よくある書き方当社は、必要な個人情報を取得します。
整えた書き方当社は、氏名、生年月日、住所、連絡先、本人確認書類の記載事項、職業、収入に関する事項、家族に関する事項、写真、希望条件、交際の状況に関する報告を取得します。

理由取得項目の一覧を示し、会員が何を渡すのかを分かるようにする。

相手の会員に見せる範囲:プロフィールの提供と同意

婚活サービスで最も重要な論点は、運営から相手の会員への情報の提供です。個人情報保護法27条1項は、個人データを第三者に提供する場合は、同項各号に掲げる場合を除き、あらかじめ本人の同意を得なければならないと定めています。他の会員は、運営者から見て第三者に当たります。そのため、プロフィールや写真を相手の会員に見せるには、本人の同意が必要で、入会時の包括的な同意とは別に、見せる範囲を意識した同意を取る設計が望ましいといえます。

相手に見せる情報を段階づける設計の例

  1. 第1段階:紹介前会員番号、年齢、居住地の区分、職業の区分、プロフィール文、写真など、相手が紹介を受けるか決めるための最小限の情報。
  2. 第2段階:お見合いの成立後氏名の一部(呼び名)、より詳細な職業、希望条件の説明など。お見合いの当日に必要な情報。
  3. 第3段階:仮交際・真剣交際に進んだとき連絡先、さらに詳しい自己紹介。運営が連絡先交換の方法を決め、双方の同意を取って開示する。
  4. 第4段階:成婚の確認のとき成婚を確認する範囲で、運営が相手に事実を確認するために必要な情報。

どの段階で何を見せるかは運営の設計で、会員が選べる項目と、運営が固定する項目を分けておくと、同意の取り方が整理できます。

段階づけをするときの要点は、会員が自分で見せる範囲を選べるようにすることです。写真は掲載しない、勤務先は業種の区分だけ表示する、年収は範囲で表示する、といった選択肢を用意し、選択に応じて、相手の会員に見える内容が変わる仕組みにします。選択肢が多いほど、同意の範囲が明確になります。

同意の取り方は、規約への包括的な同意だけでは足りないと考える方が安全です。法律上の「同意」は、本人が個人データの提供の内容を理解したうえでの意思表示を指します。規約の末尾に小さく書かれた条項への同意で、プロフィールの相手への開示が尽くされたといえるかは、疑問を持たれる余地があります。プロフィール作成の画面で、「このプロフィールは、お見合いの相手として紹介される会員に表示されます」と明示し、公開する項目の選択とあわせて同意を取る形にしておくと、後の争いが減ります。

相手の会員に提供した情報は、相手がどう扱うかも課題です。写真を保存する、スクリーンショットを撮る、SNSに転載する、第三者に見せる。これらを禁止する条項を、会員の遵守事項として規約に置きます。相手に開示した情報は、紹介と交際の目的の範囲でのみ利用する、その他の目的で利用・保存・転載しない、交際が終わったら消去する、という内容です。会員間のトラブルとの関係は婚活サービスの会員間トラブルと運営の責任で整理します。

書き方の例プロフィールの開示と相手の会員の遵守事項の条項の例

  1. 会員は、当社が会員のプロフィール(年齢、居住地の区分、職業の区分、自己紹介文、写真その他会員が開示を選択した情報)を、紹介の相手方となる会員に表示することに同意する。
  2. 会員は、前項の開示の範囲を、当社が定める方法により選択することができる。開示を選択しなかった項目は、相手方の会員に表示しない。
  3. 会員は、当社を通じて知り得た相手方の会員の個人情報を、お見合いおよび交際の目的以外に利用してはならない。また、当該情報を、複製し、保存し、撮影し、第三者に開示し、または掲示板その他に掲載してはならない。
  4. 会員は、交際が終了したとき、または当社が求めたときは、相手方の会員の個人情報を、速やかに消去する。

相手に開示する項目や段階は運営の設計に合わせて定め、プロフィール作成の画面にも同じ内容を表示します。

要配慮個人情報:病歴・障害・信条などを取得するときの同意

個人情報保護法2条3項は、要配慮個人情報を、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報と定めています。同法施行令2条は、そのうち、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること、健康診断等の結果、医師等による指導や診療が行われたこと、刑事事件に関する手続が行われたこと、少年の保護事件に関する手続が行われたことなどを挙げています。

婚活のプロフィールでは、持病、障害、アレルギーの有無、既往歴、宗教、価値観といった項目を、自己紹介や希望条件として扱いたい場面があります。相手を選ぶときに、これらを知りたいという会員がいるからです。こうした項目を運営が取得する場合、20条2項により、あらかじめ本人の同意を得なければ取得できません(同項各号の例外を除く)。さらに、27条2項ただし書により、要配慮個人情報は、本人の求めがあれば第三者への提供を停止するという、いわゆるオプトアウトの方法による第三者提供ができません。つまり、要配慮個人情報を相手の会員に開示するには、本人の明確な同意が必要になります。

確認の問いと理由要配慮個人情報に当たり得る項目を扱うときの確認項目

  1. その項目を取得する必要が、本当にあるか

    取得すれば、管理の負担も、漏えいのときの影響も大きくなる。自己紹介文の中の任意の記載にとどめ、運営が項目として集めない設計もある。

  2. 取得の時点で、同意を取っているか

    20条2項。入力フォームの項目ごとに「任意」と示し、入力は同意の意思表示であることを明らかにする。

  3. 相手の会員に見せるとき、個別の同意を取っているか

    27条1項の同意。オプトアウトは使えない(27条2項ただし書)。見せる範囲を会員が選べるようにする。

  4. その項目が要配慮個人情報に当たるか分からないとき、どう扱うか

    離婚歴、宗教観、価値観などが法の列挙に当たるかは個別の判断が必要。迷う項目は、要配慮個人情報に当たり得るものとして、同意を取って取り扱うと安全。

  5. 漏えいのおそれがあるとき、報告の準備があるか

    26条により、規則で定める事態が生じたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要。要配慮個人情報を扱うほど、体制の備えが重要になる。

離婚歴や宗教観など、結婚相手を選ぶうえで会員が知りたい項目が、法の列挙にそのまま当たるかどうかは、条文の言葉の解釈にかかる個別の判断です。このガイドでは、当たるとも当たらないとも断定せず、列挙の内容を示すにとどめます。運営の実務では、迷う項目を「当たり得るもの」として扱い、取得の時点で同意を取り、相手に開示するときも個別に同意を取る、という安全側の運用が現実的です。

外部システム・委託先・カウンセラーの端末:安全管理と外国の事業者

個人情報保護法23条は、個人データの漏えい、滅失または毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じることを求めています。24条は従業者に対する必要かつ適切な監督を、25条は個人データの取扱いを委託する場合の委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。婚活サービスは、次のような外部の仕組みに、会員情報が乗りやすい分野です。

  • 会員管理・マッチングのシステム(クラウドサービス)。
  • オンライン面談・ビデオ通話のツール。
  • メッセージ・チャットの連絡ツール。
  • 決済・請求の外部サービス。
  • 写真撮影・プロフィール作成の外部業者。
  • 独身証明などの書類を保管するストレージ。

これらに個人データを預けることは、委託に当たる場合が多くあります。27条5項1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いの全部または一部を委託することに伴って個人データが提供される場合は、提供を受ける者は第三者に当たらない(本人の同意が不要)と定めています。ただし、これは委託元の責任がなくなるという意味ではなく、25条の委託先の監督の義務が残ります。委託先を選ぶ基準、契約で取り決める安全管理の内容、委託先からの再委託の扱いを決めておきます。

外国にある事業者のサービスを使う場合は、28条に注意が必要です。個人データを外国にある第三者に提供する場合は、原則として、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要で、同意を求めるときは、当該外国の個人情報の保護に関する制度などの情報を本人に提供することが求められます(28条1項・2項)。ただし、委託先が個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している場合など、例外もあります。会員情報を預けるクラウドやツールの運営主体がどこの国にあるか、データの保管場所はどこかを、導入の前に確認し、プライバシーポリシーの記載に反映させます。

カウンセラーが私用のスマートフォンやメッセージアプリで会員と連絡する運営は、会員の安全の面で最も事故が起きやすい形です。連絡手段は運営が管理するものに限る、カウンセラー個人の端末への会員情報の保存を禁止する、退職したカウンセラーのアクセス権を速やかに消す、といった社内のルールを決めておきます。これは規約に書く事項ではありませんが、プライバシーポリシーで「安全管理のために講じている措置」を説明するときの裏付けになります。

複数の事業者が会員のデータをやり取りする運営もあります。連盟、ネットワーク、本部と加盟店のように、会員情報を共有して、相手の紹介の範囲を広げる形です。このとき、27条5項3号の共同利用の仕組みが使える場合があります。特定の者との間で共同して利用される個人データを、その特定の者に提供する場合で、その旨、共同して利用される個人データの項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的、管理について責任を有する者の氏名または名称および住所(法人にあっては代表者の氏名)を、あらかじめ本人に通知し、または本人が容易に知り得る状態に置いているときは、提供を受ける者は第三者に当たりません。共同利用を使うなら、プライバシーポリシーにこれらの事項を漏れなく書きます。

会員からの開示・訂正・利用停止の請求と、相手の会員への影響

会員は、自分の情報について、運営者に対して、法律上の請求ができます。33条1項は開示を、34条1項は内容が事実でないときの訂正、追加または削除を、35条は、目的外の利用や不正取得、不適法な第三者提供があるときなどの利用停止・消去・第三者提供の停止を、請求できると定めています。32条は、運営者に、保有個人データについて、事業者の名称・住所、利用目的、請求の手続などを、本人の知り得る状態に置くことを求めています。プライバシーポリシーに、請求の窓口と手続を書くのは、この32条の要請に沿うものです。

婚活サービスで特に悩ましいのは、会員の請求が、すでに相手の会員に開示した情報に及ぶ場合です。たとえば、退会する会員が、自分のプロフィールの削除を求めたとき、すでに相手の会員が保存しているプロフィールは、運営者の手の届かないところにあります。運営者にできるのは、自分が保有する情報の消去と、相手の会員に対する規約上の削除の求めです。そのため、規約には、会員が相手から得た情報を、交際の終了時や運営の求めに応じて消去する義務を置いておきます。

逆に、請求を受けても、全部には応じられない場合があります。33条2項は、開示により本人や第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合、運営者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、他の法令に違反することとなる場合には、開示の全部または一部をしないことができると定めています。婚活の場面では、他の会員からの通報の内容や、相手の会員に関する記載を含む記録の開示が、第三者の権利利益に関わることがあります。請求を受けたら、本人の情報だけを切り分けて開示する、不開示にするときは、その旨と理由を通知する(33条3項)という順序で対応します。

確認の問いと理由会員から情報の削除を求められたときの対応

  1. 運営が持つ情報のうち、消去してよいものはどれか

    退会に伴う請求では、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努める(22条)。ただし、法令上の保存や、未払い・トラブルの対応に必要な範囲は残すことができる。

  2. 相手の会員が持つ情報への対応はどうするか

    運営は相手の会員の手元の情報を消せない。規約に基づく消去の求めと、遵守しない場合の措置を準備する。

  3. 削除を求める理由が、トラブルや被害に関わるか

    被害の申告に基づく請求なら、相手の会員への利用停止と、再発防止の措置も同時に検討する。

  4. 請求者が本人であることを確認したか

    開示や削除の請求は、本人確認を行ってから対応する。第三者による成りすましの請求に応じると、情報の漏えいになる。

退会後の保存・消去と、プライバシーポリシーの記載

退会した会員の情報を、どのくらい保存するかは、婚活サービスで決めておきたい事項です。個人情報保護法22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めています。一方で、運営者には、保存しておく合理的な理由がある場合もあります。

  • 料金の精算や、解約に関する争いに備えるための契約・支払の記録。
  • 会員間のトラブルや被害の申告があった場合の、事実確認のための記録。
  • 再入会の申込みを受けたとき、過去の除名や重大な規約違反を確認するための記録。
  • 法令に基づいて保存が必要な書類(特定継続的役務提供に当たる場合の、業務および財産の状況を記載した書類などは概要書面・契約書面と書類の備付けで扱う)。

保存の期間は、「目的に必要な期間」と書くだけでは、会員から見て、いつ消えるのか分かりません。種類ごとに、保存する情報の範囲と期間を、一定の日数や年数で示す形が望ましいでしょう。具体的な期間は、争いが起こり得る期間や、運営の事情に合わせて決めます。期間を過ぎた情報は、消去か匿名化かを選び、その方法まで決めておきます。

写真の扱いも固有の論点です。顔写真は個人情報であり、会員のプロフィールの核心でもあります。退会後は、プロフィールからの削除、運営の保管データの消去、相手の会員への削除の求めを、一連の手続として定めます。また、写真の撮影や加工を運営が代行する場合は、撮影した元のデータの保管の扱いと、プロフィール以外の用途(広告、サイトの掲載)に使わないことを明示します。広告や口コミに会員の写真や体験談を使う場合は、別の同意が必要です。これについては成婚率・会員数・口コミの広告表示で扱います。

書き方の例退会後の情報の扱いの条項の例

  1. 当社は、会員が退会したときは、相手方の会員に表示していたプロフィールおよび写真を、直ちに表示しない状態にする。
  2. 当社は、退会後の会員の個人データのうち、利用する必要がなくなったものを、遅滞なく消去する。ただし、契約および料金に関する記録、会員間のトラブルへの対応に必要な記録は、プライバシーポリシーに定める期間に限り保存する。
  3. 会員は、退会したときは、当社を通じて知り得た相手方の会員の個人情報を、速やかに消去する。
  4. 会員は、自己の個人データについて、開示、訂正、利用停止等を請求することができる。請求の方法は、プライバシーポリシーに定めるとおりとする。

保存する情報の範囲と期間は、運営の事情に合わせて具体的に定め、プライバシーポリシーに記載します。

起きがちなこと

場面別・起きがちなこと

  • 利用目的が「サービスの提供のため」の一言で、成婚後の提携先への案内や、広告への体験談の使用が、目的の範囲を超えてしまう。
  • 入会時の規約への同意だけで、年収や写真を相手の会員に見せている。見せる範囲を選べない仕組みで、後から「そこまで見せるとは思わなかった」と争われる。
  • 持病やアレルギー、宗教観などを必須項目にし、取得の同意も、相手に見せる同意も取っていない。
  • 会員情報をクラウドやチャットで管理しているのに、運営主体がどの国の事業者か、データの保管場所がどこかを確かめていない。外国にある事業者の利用の記載が、プライバシーポリシーにない。
  • カウンセラーが私用のメッセージアプリで会員と連絡し、退職後もそのやり取りが残る。
  • 退会した会員のプロフィールを運営の画面から消したが、相手の会員が保存した写真が、SNSに出回る。
  • 会員から開示を求められたとき、他の会員に関する記載が混じったまま、全部を渡してしまう。
  • 退会後の保存期間が書かれておらず、会員から「いつまで持っているのか」と問われて説明できない。

会員から個人情報の開示や削除を求められたときの全体的な対応の筋道は、規約トラブルとよくある質問でも触れています。オンラインで完結する婚活の場合の年齢確認や本人確認、取得する個人情報の範囲は、オンライン婚活・婚活アプリの規約と法規制で整理しています。

よくあるご質問

相手の会員にプロフィールを見せるとき、本人の同意は必要ですか。

必要です。個人情報保護法27条1項は、個人データを第三者に提供する場合、同項各号の場合を除き、あらかじめ本人の同意を得ることを求めています。相手の会員は運営者から見て第三者に当たります。規約への包括的な同意だけでなく、プロフィール作成の画面で、相手に表示される項目を示し、見せる範囲を選べる形で同意を取るのが望ましい設計です。

離婚歴や宗教観は、要配慮個人情報にあたりますか。

個人情報保護法2条3項と同法施行令2条の列挙に当たるかは、個別の判断が必要で、一律には言い切れません。条文は、人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実などを挙げ、政令で障害や健康診断等の結果などを定めています。迷う項目は、要配慮個人情報に当たり得るものとして、取得の時点で同意を取り、相手に開示するときも個別に同意を取る運用が安全です。

クラウドの会員管理システムを使うとき、会員の同意は必要ですか。

個人データの取扱いの委託に当たる場合は、委託先は第三者に当たらず(個人情報保護法27条5項1号)、提供について本人の同意は不要です。ただし、委託先に対する必要かつ適切な監督は必要です(25条)。外国にある事業者に個人データを提供する場合は、28条の同意などの規律が働くため、運営主体の所在とデータの保管場所の確認が必要です。

退会した会員が、自分のプロフィールの削除を求めてきました。相手の会員が保存した情報も消せますか。

運営者が消去できるのは、自分が保有する情報までです。相手の会員の手元にある情報は、運営者が直接は消せません。そのため、規約で、相手から得た情報を目的以外に使わず、交際の終了時や運営の求めに応じて消去する義務を会員に課し、違反した場合の措置も定めておきます。

退会後の会員情報は、いつまで保存してよいですか。

法律に一律の期間はありません。個人情報保護法22条は、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを求めています。契約・料金の記録、トラブルへの対応に必要な記録など、保存の目的がある情報は、範囲と期間を限って保存し、その内容をプライバシーポリシーに具体的に書きます。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、サービスの仕組みや契約の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会 / 警察庁

アトラス行政書士法人|毎日5組限定契約書・利用規約の無料チェックお手元の書類の問題点を、行政書士が詳しく指摘します。1書類につき24時間以内に回答・お1人様3種類まで無料チェックの詳細を見る›

ご依頼の前に:対応の内容

詳しい内容を見る

結婚相談所・婚活サービスの入会契約書・会員規約でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「結婚相談所・婚活サービスの規約ガイドを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成・点検だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る